私論茶経(8)= さんぴん茶
久しぶりに沖縄を訪ねた。 現役時代は仕事で何度も行っていたのだが、その時はあの沖縄そば (特にソーキそば) の美味しさばかりに気を取られていて、気付かなかったもう一つの沖縄の香味を、今回知った。 さんぴん茶 (ジャスミン茶) のことである。 他の ハーブティー に有り勝ちなきつい自己主張も無く、沖縄の料理や風土に良く合った、口当たりさっぱりで、同じお土産の 「黒糖」 とも良く合うし 「泡盛」 を割るのにもいいと言う。 これが地域の皆さんの常用茶であることを納得した。
でも サンピン なんて、どこか貧相な音感がしてしまう。 が、今ネットで調べると、ちゃんと立派な語源があることが分かる。 あの香りの良い ジャスミン は元は ペルシャ語 で、これを中国では 茉莉 と言い、その香りを付けた茶を 「茉莉花茶(モーリーホワチャー)」 とか、とくに中国北部や台湾方面では 「香片茶(シャンピイエンチャー)」 と呼んで、多くの人が愛飲している。 後者が即ち さんぴん茶 の語源である。
そして、ジャスミン茶 にも色々あって、中国緑茶 に ジャスミン の花の香りを付けてから花だけ取り去る (以上の工程を 「イン」 とか 「薫(シュン)」 と言いこれを繰り返して高級品にする) もの、花片を取り去らないもの、変色した着香用花片は取り去るが最後に上等な花片を加える (提花) もの、緑茶 のような 不発酵茶 ではなく 弱発酵茶(白茶) や 半発酵茶(青茶即ち烏龍茶。台湾では包種茶) や 全発酵茶(紅茶) などを基材とするもの、等々実に様々だ。
今、お土産に買ってきたものをよく見ると、この さんぴん茶 は花片を残した 釜炒り緑茶(=炒青緑茶/対して日本の緑茶は概ね蒸して作る=蒸青緑茶) のようで、その素材はほとんどが中国大陸や台湾などからの輸入品であると思われる(脚注)。
今回の沖縄行きは、結婚44年目を記念した観光旅行の意味合いでツアーに参加したものだが、実は別の目的があった。 途中、オプションの行程から離れて、3年前に亡くなった大学級友の留守宅を訪ねたのである。 永年沖縄県下の農業用ダム事業の学術・技術面の指導をしてきた故人は、琉球大学を退官して間もなく急逝してしまった。 仏前で奥様のお話を伺いながら頂いたジャスミンの香るお茶の味・・・、数々の顕賞額に囲まれた彼の顔がとても優しく見えた。
注) ; 台湾が中国茶の産地であるように、南国沖縄の立地もそれに好適のように思われるのだが、地味が適さないのか府県別の茶の生産量では 27位(農林統計H17.2月) であって、所謂茶の主産県ではない。 当地では、琉球王朝時代から明からの交易品として香片茶が 「さんぴん茶 ・ 清明(シーミー)茶」 の名で入ってきていて、当時の大陸には沖縄茶商による現地工場(福建省)もあったという。
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コメント
トラックバックありがとうございます。
さんぴん茶私も大好きです。
沖縄ではハーブティーという認識さえないほど、古くからあるお茶です。すり込まれているのかほどんど嫌いな人がいないので、職場で法事でとよく使われています。内地ではさんぴん茶はコンビにほとんど売られていないですよね。内地や海外に行く時は持参しています。
投稿: 玉城 | 2007年3月16日 (金) 14時05分
初めまして!先日はトラックバックありがとうございました!さんぴん茶について詳しく知ることができました♪沖縄そばとさんぴん茶が恋しくて仕方ない今日この頃です・・♪
投稿: ゆうな | 2007年3月16日 (金) 12時18分