私論茶経(7)= 抹茶
抹茶は今や「お茶」のカテゴリーを超えて日本中で人気爆発中のようだ。 もとより、茶葉を使った料理は昔からあった。 が良くも悪くも、それらには茶葉の残骸が見えるものが多い。 ところが、抹茶はそうはならないし、それが含まれる製品は全て 独占的に あの 「優しい色」 になる。 そのほろ苦い風味は今の時代に合う。 だからその製品は、食品に、和洋菓子に、ボトル飲料に、そして外資系のファストフード店のメニューにも並んでいる。
抹茶は碾茶を挽いて粉にしたものだ。 そして本来の碾茶は、茶畑に覆いをかけて日光を遮断して柔らかい新芽のみを手で摘み取った茶葉を蒸して作る。 数ある「茶」の中でおそらく工程が最も多くて完成までの期間が長い品であろう。 実は、中国唐代の陸羽(8世紀)が著した茶についての不朽の聖典である 「茶経」 に(主として)登場する茶も、粉末状にしてお湯で煮立てて飲むものだった。 が、その元はいわゆる碾茶ではなく餅茶であった。
この書には当時の茶の分類として今の日本の抹茶に近いと思われるものを 「末茶」 と称して挙げているが詳しく述べられていないし、現在の中国茶ではこれに相当するものが無い。 また 「茶経」 が言うところの製茶法は現在の中国ではもはや主流ではなく、特にその前段(茶葉を蒸すこと)はあちらでは殆ど消滅して日本の緑茶の製法に伝えられているのみだ。 更に、製品を全て飲用してしまうと言う当時の作法も現在あちらでは一般的ではない。 (現在のところ)抹茶という緑茶は日本のみで生産されている茶なのだ。
さて、「抹茶と言えば宇治である」、と言うのは必ずしも正確では無い。 少なくともその原料である碾茶の生産は (市町村単位で言えば) 愛知県西尾市が日本一であり、京都府の和束町と宇治田原町がこれに次ぐ。 府県単位で言えば京都府の 618t と愛知県の 475t (いずれもH17年産統計) とで日本の (今のところ世界の) 殆どの抹茶が賄われているのだという。 (左は日本一の碾茶どころ稲荷山茶園の衛星写真)
ところで、「八十八夜の抹茶はいいねえ」、と言うのも実はおかしい。 その原料の碾茶は確かに5月中頃に摘まれて作られるのだが、それを直ぐに挽くのではなくて、秋口まで零下の温度で保管熟成してからなのだ。 そしてあのように細かく挽くのは昔も今も石臼でしか出来ないという。 その最適品は西尾の隣の岡崎産の花崗岩(岡崎みかげ)だという。これが抹茶工場で何百台も並んで回っている光景は実に壮観である。
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コメント
TBありがとうございました。
この時期、抹茶商品たくさん出ますよね。
年々増えてる気がします。
私もハマる一人です。
子供も大好き。
グレープフルーツのはちみつ漬けに抹茶粉をかけていただくのが好きです。
投稿: emi | 2006年4月27日 (木) 09時08分
こんばんは。
トーラク「豆乳と抹茶のプリン 黒蜜ソース入り」という記事にTBしていただきありがとうございました。
抹茶というのは、奥が深いものなんですね。
勉強になりました
投稿: chibisaru | 2006年4月26日 (水) 00時45分